教員ブログProfessor's blog

共に成長していこう-中国語の授業から-

費 燕

日本で中国語を教えはじめて二十数年の歳月が経った。最初の十年間ぐらいは教えながら学ぶことが多く、自身の成長も大きく実感する時期であった。当時は学生からよく質問が出たからだ。

発音の勉強をしている時には、“zi、ci、si”“zhi、chi、shi、ri”の表記についてこのような質問があった。「先生、“ji、qi、xi”の発音はちゃんと母音“i”が聞こえるが、“zi、ci、si”“zhi、chi、shi、ri”の場合、“i”の発音が聞こえないのはなぜでしょうか。」また、中国語では数字の2は二つの言い方があり、序数を表す場合は“二”で、数量を表す場合は“両”、二月は“二月”で、二枚は“两张”ということを教えた際には、学生から「先生、時刻は数量ではなく、順序だと思いますが、どうして“二点”ではなく、“两点”になるのでしょうか。」というような質問を受けた。当時の学生の、新しい知識を自分で考えて吸収し、分からないことがあれば積極的に質問をするという姿勢はとても印象に残っている。教師としての私は授業の準備をする時、教科書の内容だけではなく、学生からの質問を予想しながら事前に下調べを行い、質問にはできるだけ授業中に答えられるようにと心がけていた。それであっても自分では気付かない意外な点をついた質問も時々あった。答えられない場合は、「先生の宿題」として預かり、調べて理解した上で、次の授業で学生に説明した。こうすることで、教師側の視野も広がり、それをまた学生に還元することにより、ともに成長していく“教える”と“学ぶ”の良い相互作用が働いていたと思う。

いつからだろうか、このような関係は薄くなり、教わる側の学生は教師の教える内容をそのまま受け取り、質問はほとんど出なくなった。教える側にとっては仕事の量が相対的に減り楽になったが、教わる側がなぜそうなのかという問題提起を行わなくなったことで、教える側と学ぶ側の両方にとって学ぶ面白さは半減し、得るものも少なくなったと感じている。

今年のある授業で“买东西(買物をする)”という単語が出た際に、ある学生が授業後私のところに来た。「先生、『もの』はなぜ中国語で方向を表す『東西南北』の“东西”を使って表現するのですか。昔、中国では、東で塩を仕入れて西で売り、西で別の品物を仕入れて、東で売っていたことから、“东西”が物品を表すようになったと言う説があるようですが、本当ですか。」と質問を受けた。大学生からこのような質問を受けたのは久しぶりだったので、とても嬉しかった。私はこの質問を持ち帰って調べ、次の授業でクラスの学生全員に調べた内容を説明した。質問に来た学生が言っていた説もあれば、似ているが異なる説、中国の「五行学説」に由来するという説、さらには「器物」や「道具」の意味を持つ“动使”という単語が変化して“东西”と呼ばれるようになった説など実に十数説もあった。今回の知識の共有を通して、学生がよりいっそう言葉は文化や歴史などと密接な関係があることに気付けたのではないかと思っている。

教える側は時々問題提起をして考えさせ、学ぶ側は受けるだけでなく積極的に質問をして、“教える側”と“学ぶ側”の相互作用が働く関係を作ることがとても大事ではないだろうか。

中国語を学習している、しようとしている皆さん、ぜひ一緒にこのような関係を作り、共に成長していきましょう。

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