教員ブログProfessor's blog
美しいものが好きなら、フランス語を。
言語教育研究センター常勤嘱託講師フランス語担当
メランベルジェ愛エメ
この春、『プラダを着た悪魔2』が公開されました。
『プラダを着た悪魔』シリーズは、私の好きな映画の一つです。ファッション誌の世界を舞台に、服ひとつで人の印象が変わり、自信まで変わっていく。その面白さに、とても惹かれています。続編の公開をきっかけに、今回は、私自身が好きなファッションについて考えてみました。
私はフランスで生まれ育ったわけではありませんが、フランスにルーツをもち、その文化を身近に感じながら育ってきました。フランスの文化は、私にとって遠くにある憧れの対象というより、自分自身を形作っているものの一つです。そして、その中には、私がとても好きで、誇りに思っている感性があります。それが、ファッションに見られる「エフォートレスな美しさ」です。
もちろん、「フランス人のファッション」と言っても実際には様々です。それでも、フランス人の装いについて語るとき、しばしば思い浮かぶのは、すべてを完璧に作り込んだ姿というより、どこか力の抜けたスタイルではないでしょうか。
白いシャツにデニム。シンプルなニット。履き慣れた、ヒールのない靴。髪もメイクも、何時間もかけて完璧に整えたようには見えない。それなのに、不思議と美しい。
「こんなに頑張りました」と見せないこと。流行しているものをすべて取り入れるのではなく、自分の好きなものを知っていること。新しいものだけではなく、ずっと大切にしてきたものも身につけること。完璧に整えすぎず、その人自身が見える余白を残しておくこと。
私は、そんな美しさがとても好きです。
そして、この感覚はファッションだけに限らないように思います。映画、文学、絵画、建築、料理、音楽、街の風景。フランス文化に触れていると、心を動かされるものにたくさん出会います。華やかなものもあれば、ごくささやかなものもあります。けれど、そのどちらにも、「美しくあること」や「自分らしくあること」へのこだわりが感じられる瞬間があります。
そして、そうしたものにもう少し近づいてみたいと思ったとき、言葉はとても大きな入口になります。フランス語がわかるようになると、作品やブランドの背景を知ったり、翻訳では拾いきれない表現に出会ったり、その文化の中で大切にされている感覚に、より直接触れたりすることができます。
だから、フランス語を学ぶきっかけは、必ずしも「将来仕事で役に立つから」「海外で使えるから」といった実用的なものでなくてもいいと、私は思っています。ファッションが好きだから。映画が好きだから。おいしいものが好きだから。美しいものを見ると嬉しくなるから。知らなかったものに出会って、心を動かされるのが好きだから。そんな理由からフランス語を始めてもいいのです。
もし皆さんが、美しいものが好きなら。何かに心を動かされることが好きなら。ぜひ一度、フランス語の扉を開いてみてください。




