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初習言語FD講演会「外国語学習において一番重要なものは何か?」(講師:Kanematsu Nina 氏と、Mailleux Coline氏)が開催されました。

 2023年12月5日(火)に言語教育研究センター主催のFD講演会がハイブリッドで開催され、対面16人、オンライン約20人の参加がありました。言語教育研究センター常勤嘱託講師Kanematsu Nina 氏と、Mailleux Coline氏を講師とし、「外国語学習において一番重要なものは何か?」というテーマでの講演でした。

 複言語・複文化主義は、欧州評議会が推進している言語教育政策の背景にある理念で、その重要さは、日本でも年々認識されつつあります。上智大学生にとって、日本語と英語の他に、もう一つの言語を身に着け、複文化を自分自身の中に取り入れた社会人となることは、これからは常識になっていくことでしょう。言語教育研究センターの語学担当教員の中には、複数の言語を高い能力で使いこなす教員が何人もいます。この講演会は、学生の「どうやってそれだけの言語を身に着けたのだろうか」「自分も頑張ればそれだけの言語を身に着けられるだろうか」「複数言語を学ぶとどのようなことができるのか」などと言ったきわめて素朴な疑問に答えるものでした。また教員にとっては、「自身の複数言語の能力を教育でどのように生かしているか」や、「またドイツ語とフランス語のクラスの連携がどのように行われどのような問題やメリットがあったか」などを学ぶための機会でもありました。

 本講演の講演者のKanematsu Nina氏は、ウクライナ生まれでドイツで育ち、本学ではドイツ語の授業を担当しています。研究分野はドイツ語教育における行動指向とタスク指向及び、在外ドイツ語学校における多言語児童生徒の状況等です。またMailleux Coline氏は、多言語国家ベルギーの出身で、フランス語を母語とし、本学でフランス語の教鞭をとっています。オンライン教育、アクティブラーニング及びフランス語学習における学生の内発的モティベーションの促進についての研究を行っています。

 講演会の前半では、それぞれの講演者が出身の国の言語教育の事情と自身の複言語習得の過程等を話しました。外国語習得は、そういった環境にいれば自然にできるもの、と思いがちですが、そうではなく、2人とも、外国語習得に強い興味を持ち努力を重ねた結果であることがわかりました。後半は、2023年春学期に行ったドイツ語とフランス語上級の共同プロジェクトについての話でした。学生に言語スキルを向上させながら、ステレオタイプ的なイメージを捨て、異文化コミュニケーション能力を高めることを目的としたものでした。

 講演のテーマは複言語教育の重要さを訴えてきた言語教育研究センター、初習言語チームの理念に合うもので、講演後も多くの質問やコメントが得られ、大変有意義なものでした。

(文責 CLER廣康好美)

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